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はじめに
穏やかな話ではありませんが、推し活では“トラブルに遭いやすい人”というのが存在します。
複数のジャンルで活動した経験のある方には、ピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。
私も様々なジャンルで推し活をする中で、立場によって見える景色がこんなに違うのかと感じることがありました。
そしてそれは、ジャンルだけでなく活動の場によっても異なるようでした。
推し活の構造や価値観が違えば、起こるトラブルも変わってくるからです。
この記事では、コラボカフェやグッズ関連の現場で起こるトラブルについて、私が実際に遭遇した事例と具体的な解決策を添えてお話しします。
この記事が、現在トラブルに遭遇して悩んでいる方の現状を打開するヒントになりましたら幸いです。
また、推し活初心者さんのイメージトレーニングにもきっと役立つ内容となっております。
私の体験談をベースにしているため、いつも以上に主観てんこもりです。
「私はそうは思わないな」という方も、
「こんな人もいるんだなぁ」という感じで気軽に読んでくれると嬉しいです。
注意:この記事には、人によっては不快に感じる言葉が出てきます。推し活に関する嫌な言葉を見たら悲しくなっちゃいそうな方は、元気に余裕があるときに、ぜひ読みに来てください。
人気ジャンルの〇〇推しは、なぜトラブルに遭いやすいのか
コラボカフェやグッズ関連の現場でトラブルに遭いやすい人。
それは、他のキャラと比較してファンが極端に少ないキャラを推している人です。
あまり優しい表現ではありませんが、わかりやすく言うと、“人気ジャンルの低レート推し”。
その理由を説明するために、まずはこの推し活の構造と価値観についてお話します。
■“現地交換”という戦場
コラボカフェやグッズ関連の現場は、ランダム商品の“現地交換”という独自の文化が中心となっています。
もちろん雰囲気だけを楽しみに来る方もいらっしゃいますが、積極的に声をかけてくる相手は交換を目的にしていることがほとんどです。
故に会場内にいると、否応なく自分の都合と相手の都合を擦り合わせる機会が生まれるのです。
ファンの少ないキャラを推している人は、比較的スムーズに推しをお迎えすることができます。
たとえその場で決めなくても、次の現場やSNSでという選択肢を気軽に取ることが可能です。
しかし反対に、ファンの多いキャラを推している人は、推しを迎えられないままカフェやイベント会場での時間を過ごすことになりがちです。
さらにSNSでは交換の条件が指定されていることも多いため、なんとかこの場で決めたいと考える人も多く見られます。
運良く自引きできたとしても、購入した数に対して満足と言えるほど集めるのは至難の業。
推しを手に入れたい──その想いは同じでも、後者は時間が経つにつれ焦りや不満を抱いた状態になってしまうのです。
■大規模ジャンルに潜むリスク
ジャンルの規模が大きくなればなるほど、会場内での必要数も増えるため、こういった差は顕著になります。
そもそも、ファン同士が顔見知りのような小規模なジャンルでは、大きなトラブルは起きにくいものです。
各々が仲間が少ないことを自覚しているため、現場でお金を落とすファンを大切にしようという感覚が育ちやすいことが、その一因です。
また、仲間を見つけることができて嬉しいというポジティブな気持ちも、トラブルの抑止力になります。
もし困った人に遭遇してしまったとしても、適切な距離でうまくやっていこうという空気になりがちです。
しかし大規模ジャンルでは、ファンの母数が大きくなることで、以下のような状態が生まれます。
ファンの多様化
原作派、アニメ派、ゲーム派、グッズ無限回収勢、重課金勢、無課金勢、リアコ、夢女子、腐女子、親につれてこられた子ども、学生、社会人、無職の人、遠征してきた人、他にも価値観の違う様々なタイプのファンが混在する。
過激な競争
SNSや現場で他のファンの推し活を目にすることで競争心が育まれやすい。
さらに、競う相手の数が多いため手段を選ばなくなる人まで現れる。
動く金額の増大
競争心が高まった結果、常に新しい目標が現れるため、収集欲が「青天井」となることも。
そして金額が大きくなると、トラブルも起きやすくなる。
ファンが増えれば、その中には過激な方や困った方も、どうしても一定数含まれてしまいます。
普段であれば関わることのない人たちでも、ランダム商品がある限り、交換の声かけが消えることはありません。
様々な背景を持つ困った人たちが焦りや不満を引っさげて集中的に声をかけてくる──その対象が、“他のキャラと比較してファンが極端に少ないキャラを推している人”なのです。
実体験:忘れられない推し活トラブル事例集
以前、「コラボカフェで交換を断る方法」の記事で実際に遭遇した怖い話をいくつか紹介しました。
あれもまさに、私が人気ジャンルでファンの少ないキャラの推し活をしているときにカフェで遭遇した出来事です。
当初はグッズ歴も浅かったため、レートという言葉も知らず、『このジャンルは交換に対する意欲がすごいなー』と呑気に思っていました。
自分の推しバッグに向けられた視線に対しても、『みんな可愛いって思ってくれてるのかな』と無茶苦茶好意的に捉えていました。
(だって可愛いし。)
しかし、コラボカフェやグッズ関連のイベントに参加するうちに、否応なく自分の状況を理解することになったのです。
ここでは、そんな私が当時遭遇した実体験をいくつかご紹介します。
■ ガチャガチャの見張り
コラボカフェで知り合った友人と4人と横浜の街を散策していたときのこと。
ほんの数時間前にジャンルのカプセルトイが再販されたという情報を掴み、私たちは喜び勇んでアニメイトに向かいました。
すでに先客がいたのでワクワクしながら並んでいたのですが、私の順番が来ると何処からともなくふたりの女性が現れてガチャガチャの機械を挟むようにして立ちました。
ふたりのカバンからカプセルトイが見えているので、すでに何度か回した様子。
怪訝に思いながらも私が回し始めると、すごく視線を感じます。
そして、ひとつ引くたびに
「そのカプセル、〇〇(キャラ名)ですよ!交換しませんか?」
「私〇〇(やどかりの推し)持ってるんで!」
と声をかけてきたのです。
「友人と来ているので……」
「じゃあ買い取り! 買い取りでもいいですよ!」
やんわり断ろうとしても食い下がってきます。
結局、合流した友人たちの持っていた人気キャラの推しバッグを見て諦めてくれましたが、店を出るまでガチャガチャコーナーからずっと睨まれていて怖かったです。
(ガチャガチャの幽霊だったのかもしれない。)
■ 店内でのつきまとい
カプセルトイの再販から数日後、アニメイトで友人と離れてひとりになったタイミングで知らない女性に声をかけられました。
「カプ缶(カプセルトイの缶バッジ)回しましたか?」
「はい。たまたま初日に買えたので」
「交換探してませんか?」
「あ……もう全部決まったので」
「じゃあ何か買いませんか?」
「へっ?」
食い気味に聞かれて気圧されていると、グッズ売り場に案内されそうになります。
「友人と来てるので!」
慌てて逃げましたが、その後ずっと店内でつきまとわれ、結局私は何も買わずに店を出ることになりました。
どいつもこいつも自分の所持金の範囲内でブラインドグッズを買ってくれと思ったエピソードでした。
文字に起こすと当時の私、「〇〇なので……」しか言えてませんね(笑)
友人がいなかったらどうしていたんだろう。
でも半年後には、交換をゴリ押ししてくる相手にガンを飛ばす女に仕上がります。
強くなるしかなかったんや。
ちなみに、二推しのファンが少ないという友人からも
「両手が塞がってるときに買い取りしてって声かけられて、断ったらエレベーターの中まで追いかけられた」(ホラーやん)
なんて話を聞くことがたびたびあるので、買い取りや交換をしつこく迫る人というのは何処にでもいるのかもしれません。
■ 交換の予約
少しだけ交換文化に慣れてきた頃。
コラボカフェに入店するため待機列に並んでいると、知らない女性に声をかけられました。
「〇〇のコースター持ってるんですけど〜、△△出たら交換してくれませんか?」
まだ入店してもいないのに声をかけられ、私は動揺しつつも推しバッグを持ち上げます。
当時、二推しであり人気キャラでもあるそのキャラのグッズを、バッグにつけていたのです。
「すみません、△△も推しなんです」
すると、相手は「はぁ?」とこちらを睨みつけて舌打ち。
悪態をつきながら自分の並んでいた場所に戻って行きます。
成立しなかったからってその態度はないだろうと呆れながらも、私はまたひとつ強くなるのでした。
■ 悪気はないのだろうけれど
交換が決まると嬉しい──それは誰もが思うことです。
しかし、現場で交換が成立したときに相手の目の前で、
「〇〇(やどかりの推し)で決まると思わなかったー!」
と言うのは……お控えいただけると……トラブルにもなりかねないですし……うん、まぁ、それ一番人気のキャラだもんね……。
でも、獲得条件がすごく厳しいグッズだったから私だって推しを見つけられたことが嬉しくて、何度もお礼を言って喜んでいたのです。
あの言葉を聞いた途端、スッと心が冷えたことが何年経っても忘れられません。
こんなふうに不用意に傷つけられてしまう機会が多いのも、人気ジャンルのファンが少ないキャラを推している人の特徴です。
SNSを見ていても、「推しをハズレだと言われた」「推しのグッズをゴミ呼ばわりされた」という話題が定期的に浮上してきます。
実際のところ、交換が決まらないことへのイライラや、ブラインドグッズへの鬱憤が心ない言葉を引き出しているのでしょう。
わかります。
私も人気キャラの交換を探してしんどくなることや、『このキャラで決まるなんて!』と思うことがあります。
特に、海外の方や地方在住の方と現地交換をしていると、「交換品、こんな(都民にとっては珍しくもない)グッズでいいんですか?」と喉まで出かかることもあります。
でも、そんな時でも相手の価値観を尊重するのがマナーだと私は思っています。
提供するものに対して『取るに足らないものだ』と感じるのは、自分の価値観でしかないです。
レアリティに差があり、申し訳ないと感じたときは、おまけをつけたりふたつ選んでもらったりして自分の気を済ませることもあります。
ただし、同種交換で一方のみが提供する個数を変えることはトラブルの原因になることもあるため、注意が必要です。
対策:トラブル回避法
休日に繁華街を歩けば旅行客に道を聞かれ、テーマパークで一息つけば幼女にナンパされる──私は多分、かなり話しかけやすい部類の人間です。
推し活中は殊更に機嫌がいいため、普通の人にも変な人にもよく声をかけられます。
そんな私が推しのバッグを見せびらかしていたのですから、血眼になって交換を探している人のターゲットになってしまうのは必然だったのでしょう。
また本音がどうかはさておき、にこにこ対応してしまう性分でもあるため、ひとり断ってもまたひとりというのが常でした。
意に沿わない取引を成立させたことは恐らくなかったと思いますが、食い下がられたり捨て台詞を吐かれたりして嫌な気持ちになってしまうこともしばしば。
推し活をゆっくり楽しめず、推しのグッズを身につけることを控えていた時期もありました。
でもそれって推し活を全力で楽しんでいるとは言えないような気がして、いくつかの対策を実践することにしたのです。
■ 人気キャラ推しのフォロワーさんに同行してもらう
コラボカフェやグッズ関連の現場で推し活をしていると、フォロワーさんの多くはグッズの交換をしたことのある相手になっていきます。
つまり、自分と推しが被っていないんです。
そして取引や普段の投稿を通じて、なんとなく相手の人となりや推し活観がわかっています。
・ 連絡をきちんとしてくれるか
・ 他のファンに対して攻撃的な発言をされないか
・ 交換や買い取りを強要されないか
・ グッズを丁寧に扱ってくれるか
・ 普段どれくらいグッズを購入するか
このあたりがわかるだけでも、安心感が違います。
さらに手渡しでの取引をしたことのある相手であれば、服装などの容姿も知ることができるでしょう。
私は何度か推し活中にお会いした方で、人気キャラの強そうな推しバッグを持っている方に積極的に声をかけていました。
コラボカフェやコラボカラオケ、オンリーショップやテーマパークコラボなど、同行者がいると楽しさが倍増するイベントが多数開催されるのも人気ジャンルの特徴です。
当選するたびに声をかけ、何度かご一緒して仲良くなると、それまで無防備だったやどかりのセキュリティが向上するのを感じました。
連れに人気キャラ推しがいると『身内で交換が決まっているかも』と思ってもらえるのです。
そのため相手の期待値も下がり、断ったときにあっさりと引き下がってくれるようになりました。
身内だけで交換できるというのは、人気キャラ推しさんにとっても非常に助かるので、まさにお互いWin-Winの関係。
「ほんと助かる〜!」と言い合いながらの推し活は、心にもお財布にもすごく優しかったです。
■ 人気キャラのグッズを持ち歩く
当初、私は最推しのグッズだけを集めていました。
けれども欲望センサーが有能すぎるため、ブラインドグッズでお迎えするのは他のキャラばかり。
そこであるとき、二推しのマスコットを引いた際に自分用にして持ち歩くことにしたのです。
コラボカフェでも、最推しのアクスタを並べた傍らにちょこんと鎮座。
『可愛いし、いっか〜』
最初はそんな軽い気持ちでした。
それがどっこい、セコム爆誕。
ひとりでいても、これまでのようなトラブルに遭う回数が劇的に減ったのです。
『△△との交換用かも』と思ってくれるのか、怖いほどの勢いで迫ってくる人が減り、食い下がられることもなくなりました。
味をしめた私は、二推しのグッズも少しずつ集めることに。
推しバッグにつけるとカフェ以外でも嫌な思いをすることが減り、いつの間にか二推しも我が家のグッズエリアにて永住権を手に入れたのでした。
(お財布には優しくありませんでした。)
■ マイナー推しの先輩と仲良くなる
自分より長くマイナーキャラを推している方と仲良くなれたことも、私にとってすごく心強い出来事でした。
トラブルへの対処法を教えてもらえただけでなく、モヤモヤした気持ちを誰かと共有することで気持ちが軽くなったのです。
推し活のたびにいくつものお声がけを断り続けたり、推しに心ない言葉をかけられたりすることは、思っている以上に心の負担になっていました。
他にも同じ境遇の人がいるとわかれば幾分気持ちが楽になりますし、仕方のないことだと自分を納得させることもできます。
推しの立場に由来した悩みは、SNSには書きにくいものです。
言葉選びを間違えると炎上してしまう可能性だってあります。
「こんなことがあってモヤモヤした」
「いつもどうしていいかわからなくなる」
そんな話ができる相手を見つけることは、思い詰めて新たなトラブルを呼び込んでしまわないよう、自分を守る一手になるのではないでしょうか。
■ “コラボカフェで交換を断る方法”を読む
以前書いた記事の中で、コラボカフェでの断り方について掘り下げています。
断り方のイメージトレーニングをしておくと、突然声をかけられても多少慌てずに対応することができるようになります。
特に、“断るのが苦手な人向けの準備と対策”の章では、今回のようなトラブルを避けるためにも役立つお話をしております。
お時間のあるときに、ぜひ読んでみてくださいね。
まとめ
本当は推しが人気かどうかなんてどうでもいいし、マイナーと呼ばれるキャラでも“刺さって”しまえば人生を変える最推しです。
だけど、コラボカフェやグッズ関係の現場では、そうも言っていられないのが現実。
無防備に交換募集を投稿すればスマホの通知がパンクするし、コラボカフェでは瞬く間に行列のできる交換所を設立してしまう。
安心して楽しむためにできる工夫があるのなら、自衛するのは悪いことではありません。
推し活は、心地よく続けられてこそ意味があるのです。
今回はテーマの都合上、トラブルに関してのお話に絞ってお伝えしてまいりました。
強烈な方々というのは、どうしても強く印象に残ってしまうものです。
ですが、もちろん現場で声をかけてくれる人の中には、素敵な方もたくさんいらっしゃいました。
推しへの愛や推し活へのバイタリティ、ファン同士のコミュ力など、尊敬しているフォロワーさんは何人もいます。
また、前半でお話したように、推しのファンが少ないことで自分の推し活が捗る側面があるのも事実です。
交換エリアに入った途端、モーゼのように人波が割れ、開封するスペースを作ってもらえたこともあります。
(上限買ったのに推しをひとつも引けず、泣きそうになりながら全て交換していただきました)
私は様々な推し活を経験するうちに、どんな立場でも一長一短なのだと感じるようになりました。
うまく行かないこともあるけれど、そのぶん楽しい気持ちをもっと膨らませられるように、ぜひ一緒に向き合っていきましょう!
今回もお読みいただきありがとうございました。
よかったら、また遊びに来てくださいね。


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