メルカリでグッズを売る時に値下げできない心理とは〜わかり合えない出品者と購入者〜

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💖推し活体験談🪙お金の話

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1. はじめに

「購入意思のない“いいね”禁止!」
「値下げ待ちの“いいね”禁止!」
「これ以上値下げしません!」
 
メルカリで推しグッズを見ているとき、こんな言葉を目にすることはありませんか?
 
マイルール論争は一旦置いておくとして、値下げを依頼されること自体を拒む声が出品者側からあがることは珍しくありません。
 
私自身、“いいね”が二桁にのぼると商品説明に「値下げの予定はない」旨を記載することがあります。
 
前提として、メルカリで値下げ交渉が可能であることは誰もが知っていると思います。
 
出品者だって、わずかな値下げで売れるのであれば、そちらのほうが得になることもあるはずです。
 
しかし、こと推しグッズに於いて値下げを実現することは容易ではありません。
 
そこにはいくつかの心理現象が、高いハードルとなって立ち塞がっているのです。
 
 
 
今回は、メルカリでの値下げについて消費活動にまつわる心理現象を踏まえながらお話していきます。
 
出品者の立場になったとき、値下げ交渉をされるとイライラしてしまう。
 
推しグッズの相場が想像より安いとモヤモヤしてしまう。
 
そんな経験をしたことがある方の参考になる内容となっております。
 
ぜひ、最後までおつきあいください。
 
 
 
【注意】
この記事は自身の体験談をいくつかの書籍で咀嚼した内容となっております。
あくまで考え方のひとつとして参考程度にお読みください。
 
 
 
 

2. 保有効果のジレンマ

“保有効果”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 
簡単に言うと、非所有者と所有者でモノに対して感じる価値に2倍以上の差が出ることがある、という心理現象です。
 
つまり、非所有者である購入者が300円の価値を感じるグッズに対して、所有者である出品者は600円以上の価値を感じることがあるということ。
 
これを知ると、買い専の方でも出品者が値下げに対して抵抗を感じることに納得できるのではないでしょうか。
 
反対に、購入者が値下げ交渉をしたくなる気持ちも見えてきます。
 
それぞれの行動は、個人ではなく立場による心の動きが根幹となっているのです。
 
また通常の不要品と比べて、推しグッズの場合はこういった傾向が顕著になると私は感じています。
 
推しへの熱狂。
 
推し活の楽しい記憶。
 
ランダムや限定販売など入手における困難さ。
 
推し活では標準装備であるそれらが、出品者の保有効果に強力なバフをかけてしまうからです。
 
次の章では、保有効果が起こる原因を推し活に絡めてお話してまいります。
 
 
 
 

3. 「2倍以上の差」──保有効果はなぜ起こる?

その昔、アメリカの行動経済学者が“マグカップの実験”というものを行いました。
 
とんでもなくざっくりまとめると、学生にマグカップを使ったお買い物ごっこをさせてみたら、売り手と買い手でマグカップに対してつけた値段に2倍以上の差があった、というもの。
 
(有名な実験なので、具体的な条件や数字が気になる方はぜひ検索してみてください。)
 
この実験結果が、先程お話した「2倍以上の差」の根拠として多くの書籍やネットで語られています。
 
よく考えてみてください。
 
その場で配られたマグカップですら、人間に「2倍以上の差」を感じさせるのです。
 
自らの意思で手に入れ、紆余曲折を経て手放すことになった推しグッズが推し活民にもたらす価値の差たるや、計り知れません。
 
“以上”に含まれる振れ幅は決して小さくはないでしょう。
 
ここで、保有効果はどうして起こるのか、その原因や関係し合う心理現象について解説していきます。
 
 
 

■1 プロスペクト理論(損失回避性)

人は何かを得る(保有する)喜びよりも、所有しているものを失う悲しみをより強く感じる生き物です。
 
この性質については、このブログでも何度も触れてきました。
 
モノ、お金、時間、機会──その対象が何であれ、失うことに対するストレスは心を大きく削るのです。
 
「売却を考える時点で、グッズを手放す悲しみなんて薄れているはずだ!」
 
そう思う人もいるかもしれません。
 
実際、入手時より薄れていることは事実でしょう。
 
ですが、その場で配られたマグカップですら失うとなると無意識に痛みを感じるのが人間です。
 
推しグッズに嫌な想い出でもくっついていない限り、マグカップを下回ることは難しいのです。
 
 
 

■2 現状維持バイアス

これは変化によって得られる利益より、変化に伴う損失を過大評価して、現状を維持しようとしてしまう心理のこと。
 
格安SIMに変えれば節約できるとわかっていたのに、長年使ってきた3大キャリアからなかなか抜け出せなかった私のことです。
 
無意識に失うことへの痛みを感じた結果、人はそれを『めんどくさい』だの『時間がない』など名札をつけて膨らませ、保有し続けることに価値があると思いたがるのです。
 
これは本当に曲者で、値下げどころか出品意欲すら削いできます。
 
ちょっと編集したら売れそうなのに、『まぁいいか』なんて言って何ヶ月も放置してしまうのもこれが原因でしょう。
 
モノに限らず、“現状”というのは普段息を潜めているくせに、誰にとっても無視できない大きな存在なのです。
 
 
 

■3 単純接触効果

これは、繰り返し接触することで、人や物に対しての親近感や好意度が増していくという心理現象です。
 
CMや電車内の広告などは、この効果で消費者の購買意欲を掻き立てることが期待されています。
 
『なんか見たことある』
 
それだけで、人は好感を抱き財布を開くのです。
 
自宅内で何度も目にし、丁寧に保管していたグッズに対して推し活民が好感を抱かないワケがありません。
 
出品者は知らず知らずのうちに、定価や相場とは関係ないところでも推しグッズに価値を感じてしまっているのです。
 
またグッズを手放すからと言ってジャンルそのものから離れるつもりはない場合、グッズそのものはしまい込んでいたとしても、そこに描かれているキャラのことは日常的に、頻繁に目にしています。
 
手放しにくいことこの上ないのは当然と言えるでしょう。
 
「迷っているので出品を取り下げるかもしれません」なんて文言を書く出品者がいるのは、単なる煽りではないのかもしれません。
 
 
 

■4 フォールスコンセンサス効果

これは、自分の考えや行動が多数派・一般的なものであり、正常だと思い込む認知バイアスです。
 
『自分にとって価値のあるものは、他人にとっても価値がある』と思い込んでしまう、内的な世界と外的な世界の境界線が曖昧になって起こる現象です。
 
常に大切なものを抱える推し活民にとって、なかなか耳の痛い話かもしれません。
 
「誰かの主食は、誰かの地雷」
「誰かの萌えは、誰かの萎え」

 
二次創作に触れている人の中には、そんな言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。
 
自分にとって大事なものが他人にとって大事とは限らない。
 
それを言葉にして自らに言い聞かせていないと、我々は無意識に自他を混同し、いらぬストレスを抱える羽目になってしまうのです。
 
 
 

■5 サンクコスト効果

費やしたお金や時間、労力を惜しむあまり、合理的な判断ができなくなる心理現象をサンクコスト効果と呼びます。
 
ここまでお話した内容に加えて推しグッズに関しては、このサンクコスト効果も強く影響していると、私は考えています。
 
なぜなら、私たちは推しグッズを手に入れる際に、何かしらの苦労をしているからです。
 
金銭的負担は勿論、情報収集や予約、店舗に足を運ぶなどの手間、ブラインドであれば交換や買い取りの手間、手元に届いてからも綺麗に並べたりOPPに包んだり。
 
グッズを手に入れるため、所有するために費やした時間やお金が一切ないという人は存在しません。
 
その時は熱狂により意識していなくとも、手放す際にはコストとして姿を現すのです。
 
グッズを保有し続けるのであれば、それらのコストは報われます。
 
しかし手放すとなると、かけてきたコストも一緒に手放すことになってしまいます。
 
その結果、今となっては回収できないものを回収しようとして、出品できなかったり、値下げに踏み切れなかったりするのです。
 
 
 
 

4. 保有効果に振り回されないために出来ること

正直に申し上げますと、私自身もこの保有効果に日々振り回されている立場です。
 
引っ越しの際に断捨離も経験しましたし、自宅や実家の不要品を大量に処分した経験もありますが、推しグッズに関しては二の足を踏むことばかりです。
 
しかし、数々の心理現象に打ち勝って出品や値下げをし、里親を見つけられたグッズもたくさんあります。
 
なので、私の成功体験と目指したい目標を元に、保有効果に打ち勝って値下げを実行したい人向けのアドバイスをまとめました。
 
私はこれで打ち勝ったよ、という体験談でもあるので、心穏やかにグッズを整理したい方の参考になれば幸いです。
 
 
 

■1 損失回避性の回避

得る喜びより、失う悲しみを強く感じるのが損失回避バイアスです。
 
であれば、お金を得る喜びや空間を得る喜びに意識を向けるのはどうでしょうか。
 
出品する際に、定価が3000円だったことを軸に考えるのではなく、1000円のお小遣いと部屋の余白を手に入れられることを軸に考えるのです。
 
失うものではなく、得られるものにフォーカスを当てるとスッと気持ちが軽くなります。
 
私はこの切り替えで格安のまとめ売りを掲載することができて、長年持ち続けてきた迷子たちのお譲り先を見つけられました。
 
ただ、この方法は、グッズを見たときに一瞬で定価や入手経路が頭に浮かぶうちは難しいという問題もあります。
 
箱買いをして推し以外の譲渡先を決めるスタイルでグッズ収集をしていると、購入後数年経っても値段がチラついてしまうので、『定価の1/3にもならないのか……』と思わずにいられません。
 
そんなときは、他の対策と組み合わせて実行してみることをおすすめします。
 
 
 

■2 現状維持バイアスの打破

これにはまず、存在感皆無なくせに心地良さを提供してくる現状とやらを可視化する必要があります。
 
まずひとつ目は、現状が良くない状況を作ることです。
 
たとえば手放したいグッズをまとめて大きな紙袋に入れて、少々邪魔なところに置いてみてください。
 
自分の生活を圧迫するものとなれば、手放す気持ちも高まるというものです。
 
私は引っ越しの際にこれを実行したところ、大きな紙袋ふたつ分の推しグッズや不要品を1ヶ月程度で整理することができました。
 
値下げしてでも売ったもの、捨てたもの、使ったもの、手元に残したもの、様々な行き先がありましたが、毎日タスクとして目にすることでやる気にも繋がりました。
 
また、中身が少なくなった際に達成感を得やすいという利点もあります。
 
ふたつ目に、片付け動画やミニマリスト動画を見ることも有効です。
 
自分にない切り口から語られる考えを聞いていると、現状を見つめ直すきっかけになります。
 
私は「物が多かった頃は毎日が“ウォーリーをさがせ!”状態でした」というYouTuberさんの言葉で目が覚めました。
 
これまで人様の綺麗なお部屋を見ても何も思いませんでしたが、自分の部屋が“ウォーリーをさがせ!”であることは誠に遺憾だったのです。
 
“ウォーリーをさがせ!”も“ミッケ!”もあまり得意ではないので、そりゃあ自室で休まらないわけだと納得しました。
 
みっつ目、ここまで来ても現状から抜け出せない場合は、メルカリなどのキャンペーンをきっかけにするのが効果的です。
 
やる気を高める材料は、あればあるほどエネルギーの節約になります。
 
 
 

■3 単純接触効果の滅却

触れるたびに好きになる、まるで同人誌のような推しグッズ。
 
一旦距離を置いて、気持ちを落ち着かせることで熱狂をリセットしましょう。
 
ジャンル移動を伴わず、キャラそのものから離れるわけではない場合でも、グッズは目に入らない保管方法に変えてみる。
 
出品ページを何度も何度も開かない。
 
ただし、これは現状維持バイアス対策とぶつかる可能性があるため、自分にとってどちらの対策が有効かを見極める必要があります。
 
仕舞い込むと現状維持に気持ちが傾き、保有効果が高まりそうなら、目につく場所に置く。
 
接触することで愛着がわき、高値をつけたくなってしまうのであれば、距離を置く。
 
私は間を取る意味もこめて、紙袋や段ボールに入れることでグッズそのものが目に触れないようにして、ちょっと邪魔なところに置いています。
 
そして『持っていてもいいか』と思い始めると一旦仕舞い込み、再び愛着が薄れてくるとまた紙袋で登場。
 
そのタイミングで一気に安値をつけて、最終的なお迎え先を決めています。
 
 
 

■4 フォールスコンセンサス効果からの脱却

これはもう自分に言い聞かせるしかありません。
 
その上で、他担のSNSを視界に入れたり、他の人の意見に耳を傾けることで、自分の価値観を中和するのです。
 
自分の価値観と相場は別であることを自分に染み込ませて、相場を受け入れ、価格設定に反映させるハードルをさげていきましょう。
 
 
 

■5 サンクコスト効果と向き合う

グッズを手に入れるため、所有するために費やした時間やお金──それが貴方にもたらしたのは、かたちあるものだけでしょうか。
 
大変だったことや苦労したことは勿論事実。
 
でも、きっと楽しかったはずです。
 
推しを追いかけ、推しに囲まれていた時間が幸せだったからこそ、推し活に興じていたはずなのです。
 
グッズという、大なり小なり換金性のあるものが手元にあるから忘れてしまいがちですが、本来推しを推して行動している時点で推し活は完了しています。
 
費やした時間やお金は、その経験や想い出を得るためにあったと認識してみるのはどうでしょうか。
 
グッズそのものではなく、手に入れる過程や所有する喜びにこそ意味があったと納得するのです。
 
実際、推しグッズというのは推し活に勤しむ推し活民を楽しませてくれるためのアイテムです。
 
卸売業者でもない限り、そのものの値段や入手経路が最も重要な要素にはなり得ないはずなのです。
 
 
 

■6 どうしても無理なら定価や納得のいく価格で出し続ける

色々と言ったところで、理屈だけではどうにもならないのが人の心です。
 
保有効果やその対策を知ったとしても、割り切れないときは割り切れません。
 
そんなときは出品を保留にしたり、定価や納得のいく価格で出品を続けたりしてしまいましょう。
 
時間はかかっても、定価で出し続けて売れることもあります。
 
値上げした瞬間に売れることもある。
 
お互いに人間なので、売り手・買い手に“絶対”はありません。
 
そして、何にしても推し活というのはあくまで趣味なので、正解はないのです。
 
値下げしないといけないわけでも、売らなくてはいけないわけでもありません。
 
期限を決めたり、時間を置くことで、自分や相手の考えが変わることもよくあります。
 
今が無理で、猶予があるなら、気が済んだときにまた考えたらいいのです。
 
 
 
 

5.まとめ


 
今回は、フリマアプリでのやり取りに潜む心理現象“保有効果”についてお話ししました。
 
“いいね”の禁止や、強気な価格設定の裏側には、ひとことでは片付けられない、極めて人間的な背景があったのです。
 
推し活民がグッズを手放す際に感じる痛みは、推しとの時間を大切に思ってきた証でもあります。
 
メルカリの画面を前にして心の重みを感じてしまったときは、ぜひこの記事を思い出してみてください。
 
みなさんが、より良い推し活ライフを送るための一助になりましたら幸いです。
 
今回もお読みいただきありがとうございました。
 
またぜひ遊びに来てくださいね。

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