感想って送るべき?〜同人作家に喜ばれる言葉・困らせる言葉〜

💖推し活体験談
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はじめに:感想を送るべきか悩む理由

前回の記事を読まれた方はご存知かもしれませんが、私は同人誌や二次創作の感想を書くのが大好きです。
 
作品を拝読して湧き上がった感動や興奮をできる限り言語化したい。
 
叶うことなら同人作家さんの隣で、
 
「この描写が、表情が、ほんっっと最高なんです!」
「こんな神展開を生み出した神のご尊顔を拝したい! え、今隣に……?」
 
──と大騒ぎしながら拝み倒したい。
 
でも、作家さんとそこまでの関係になるのってなかなかハードルが高いですよね。
 
私も自分自身がサークル側になっていなければ、ここまでの全力感想製造機にはなれていなかったかもしれません。
 
それに、普段から感情を文章にする習慣がない人にとっては“好き”と伝えることも難しいものです。
 
何をどう書けばいいかわからない。
(自分の力量でつまずくパターン)
 
感想って迷惑じゃないの?
(相手がどう思うか不安なパターン)
 
なんだコイツって思われないかな。
(相手にどう思われるか不安なパターン)
 
神絵師にすり寄ってるって後ろ指さされたりしないかな。
(第三者の反応が不安なパターン)
 
他にも、悩みは人それぞれだと思います。
 
 
 
今回は二次創作活動における感想について、作家さん寄りの視点からお話していきたいと思います。
 
2万字の感想を入稿するような作家兼読者の体験談がベースとなっているため、若干の偏った思想はご容赦いただけると嬉しいです。
 
感想を送ってみたい方の参考になる内容となっておりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
 
 
 

感想NG作家は少数派

基本的に感想は喜ばれます。
 
すごく、喜ばれます。
 
個人サイト時代から毎日のように誰かしらと交流し、pixiv、即売会一般参加、サークル参加、そして毎月のようにオフ会に参加する生活をしていましたが、感想をもらうのが嫌だという人に会ったことはありません。
 
感想どころか、反応をもらえるだけでも嬉しいという人が圧倒的に多いと感じていました。
 
そしてどんな神絵師でも、神作家さんでも、読者が思うほど多くの感想をもらってはいません。
 
「きっと同じような感想が沢山届いてると思うんですけど、ここが本当に最高で!」
 
作家さんには耳タコの萌え語りかと思い恐縮してそんな言い方をすると、
 
「感想ほんっとにもらうことないんですよ!」
「みんなこんなにもらってないのかなっていつも不安になってます」
「(壁サークルなので)部数は出るんですけど、読んでくれたかどうかもわかんなくて」
「“読んだよ!”だけでも嬉しいし、ありがたいんです」
 
──畳み掛けるように感想への思いを語られたことは、一度や二度ではありませんでした。
 
 
 
感想の出来映えが心配になる気持ちもよくわかります。
 
ですが、安心してください。

作家さんは皆さん例外なく、想いを言語化することの難しさをご存知です。
 
一読者が、人気ライターのような完璧な感想を送ってくるなんて思っていません。
 
うまく言葉にできなくても、「たぶんこういうことが言いたいんだな」と受け取ってもらえる可能性は高いです。
 
それに感想だって表現であり、ある意味では創作物です。
 
感想を書きたいと思うほど揺れ動いたあなたの想いはとても大切なもの。
 
迷ったら、自分がその想いをどうしてあげたいかを考えてほしいなと思います。
 
 
 
でも、感想には作品と全く異なる重要な性質があります。
 
それは、読んでくれる相手がひとりだということです。
 
一応レスポンスの自由は相手にあるけれど、読まないという選択肢はほぼ無いと言えます。
 
そして、言及する作品は同人作家さんにとって我が子同然の存在。
 
言ってしまえば、見知らぬ人から「あなたのお子さんって最高ですね」と手紙を渡すようなものなのです。
 
そう例えるとちょっと危ない人ですね(笑)
 
さらに追い打ちをかけると、作家さんの中には繊細な一面を持った方も多くいらっしゃいます。
 
感情豊かな方だからこそ、心に響く作品を生み出されているということが間々あるのです。
 
 
 

感想によって筆を折ってしまった神絵師たち

ここでふたつの例についてお話しします。
 
どちらも私が読み手として出会った同人作家さんです。
 
 

■感想を貰えていたら

1人目は、私がグッズ取引用のTwitter(現:X)アカウントにのみ浮上していた時期にひっそり追っていた絵師さんです。
 
その方はBL作品(もしくはそう見える作品)を中心に同人イラストを描かれていたため、普段私は反応を控えていました。
 
“いいね”やBL要素のない作品のリツイートはさせてもらっていましたが、感想を送るどころか、空リプで想いを告げることすらなかったのです。
 
その方のホームを拝見する限り他の方と交流されている様子もなく、淡々と神作品を連投していらっしゃいました。
 
アカウントの開設からそんなに経っていませんでしたが、フォロワー数もかなり多く、更に日に日に増えている様子。
 
そういうスタンスの絵師さんなのかなと思い、私は深く考えることなくその方の作品にひとり萌え転がっていたのです。
 
しかし、ある日突然全てのメディアを削除。
 
ツイートで、交流がうまくできず仲間がいなかった、などこれまでの孤独な気持ちを吐露されていました。
 
そしてアカウントの削除を予告。
 
数日後、その神絵師はいなくなってしまいました。
 
私は告白文を目にしたとき、今更だと思われることは重々承知の上でこれまでの感謝の気持ちと感想を送らせてもらいました。
 
「きっともう伝える術がなくなってしまうから」と、相手のこともよく知らずに送った言葉がどう受け取られたかはわかりません。
 
できる限り配慮したつもりだけど、傷つけていなければいいな、あわよくば少しでも力になれていたらいいなと思っています。
 
 

■期待されすぎて

2人目は、私が同人誌即売会に参加していた頃に仲良くさせていただいていた絵師さんです。
 
その方は、とあるカップリングの最大手と呼ばれるような方でした。
 
プライベートな話はしたことがありませんでしたが、推しの妄想ツイートで盛り上がったり、誕生日に作品を贈り合ったりする良い距離感だったと思います。
 
私が長文の感想を送ったことも何度もあり、即売会でお会いすると「やどかりさんの感想ほんとに嬉しい!」と両手を握って喜んでくれていました。
 
最後にお会いしたあのときも、そうだったんです……。
 
その方は、とあるイベントを境にオンラインからもオフラインからも姿を消してしまいました。
 
どうしたのかなと思っていたところ、共通のフォロワーさんからこんな話を聞いたのです。
 
 
曰く、
前回頒布した作品に対して、続きや良作を期待する声が多く寄せられたらしい。
御本人は良いものを書こうと頑張っていたけれど、段々と負担になって描けなくなってしまった。
結局、息抜きに描き始めた別のジャンルで今は気持ちを整えている。
 
 
私は自分の送った感想を振り返ると共に、会うたびに飛び跳ねて喜んでくれた彼女の笑顔を思い起こしました。
 
御本人から話を聞いていないので、確かなことはわかりません。
 
今も私の本棚には、最後に頒布してもらった作品の上巻だけが並んでいます。
 
 

■ついでに私の話

神でもなんでもないやどかりですが、希少種とも言える“感想が苦手な同人作家”でした。
 
閲覧数や反応をいただけることは嬉しかったですし、コメントに時間を割いてくださることは本当にありがたいと思っていました。
 
ずっと心に残っている感想もいくつかあります。
 
しかし、個人サイト時代に様々なコメントに悩まされるうちにこう考えるようになったのです。
 
 
「感想をもらうとモチベーションが上がる、もらえないと下がる、って人にとって感想ってすごくいいものだと思う」
「だけど私は誰よりも自分のために書いてるから、感想や反応をもらってももらわなくても書くときは書くし、書かないときは書かない」
「だから感想をいただいても期待には応えられないし、コメントに悩まされてモチベーションを下げるくらいなら、感想はないほうがいいかな」
 
 
それからは、サイトからできる限り連絡手段を消し、コメントを求めるような言葉も削除しました。
 
最終的に誰にも公開せず自分だけで楽しむ二次創作サイトを作ってしまったので、我ながらだいぶ拗らせたオタクだなぁと思います(笑)
 
今回、「感想はすごく嬉しいよ」という方向でお話ししておりますが、私自身はあまりそれを体感できていません。
 
感想を送る際も、相手が自分と同じタイプだったときのことを常に考えていました。
 
結果的にそれが杞憂じゃなかったことはありませんでした。
 
なので、改めて「感想はすごく喜ばれるよ」と力強くお伝えさせていただきます。
 
 
 

メッセージを送る前に知っておきたいポイント

ここまで、“感想は喜ばれるが配慮が重要”ということについてお話してまいりました。
 
では、具体的にどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?
 
 

■相手が感想を求めているか分からないとき

プロフィールやSNSの投稿を確認しても、感想を送りたい相手が感想を喜んでくれるかどうかわからない場合。
私が実際にやっていた感想の伝え方をいくつかご紹介します。
 
 
・マシュマロなどの匿名ツールで送る
このツールが出たとき、本当に神だと思いました。
悪意のある投稿でなければこちらの情報が伝わることはなく、更に尖った言葉は自動的に弾いてくれるため、存分に感謝の気持ちを綴ることができます。
相手に届いても関係が継続しにくいため、お互いに負担になりにくいところもメリットです。
 
 
・個人サイトがあれば名乗らずにメッセージを送ってみる
一昔前ではありますが、よくやっていた方法です。
感想が好きな方は返信をくださりますし、お忙しければブログなどで喜びを伝えてくれます。
お相手の反応次第では後々名乗って常連になることもできるため、あわよくば交流したいときにも有効です。
 
 
・返信不要と伝える
どんな方法で送るにしても、相手が感想好きかわからない場合は必ず「お返事には及びません」と伝えていました。
相手が感想苦手なタイプの場合、お返事を考えるため何度も読ませるのは申し訳ないと思っていたからです。
また感想をもらうのは嬉しいけれど返信する時間はないという作家さんも多くいらっしゃいます。
 
 
・リポストして空リプ
これは状況や人を選ぶ方法ではありますが、感想を言いたい作品をリポストして感想をポストすることで、感想好きな方かわかることがあります。
交流好きな作家さんの場合、返信をくれることもありました。
お忙しい方や、交流を望んでない方、感想が苦手な方はいいねのみ、もしくは反応されないと思うので、ひとつの参考になると思います。
 
 

■喜ばれる感想の例

次に、実際に喜ばれた感想をいくつかご紹介します。
どんな感想を書いたらいいか迷ったときのヒントになれば嬉しいです。
 
 
・好きなセリフや描写を抜粋して感動を伝える
作者さんが考え抜いて選んだセリフの場合は「伝わった!」と喜んでもらえますし、作者さんにとって意外なセリフの場合も「そこなんだ!」と喜んでもらえます。
あなたが好きだと感じたこと、笑った場面、心に残った描写をそのまま伝えることが大切です。
読者の気持ちを動かせたことが作者さんにとっては嬉しいのです。
 
 
・作者の癖/ヘキ(手の角度・坐骨・手袋の隙間など)を感じるところへの愛を語る
「〇〇さんの描く指がめちゃくちゃ性癖です」「この隙間に宇宙が詰まってます。ありがとうございます」そう語れる作品に出会えた喜びはぜひ伝えてください。
これも合ってるとか合ってないとかはないので、自分の萌えに正直に反応しましょう。恥ずかしがらなくて全然大丈夫です。
 
 
・余韻や読後感への言及
「読み終わったあとしばらく現実に戻ってこれなくて放心してしまいました」「ほんとに世界観が良すぎて明日仕事行きたくないです」そう感じたら、ぜひ伝えましょう。
いつまでもこのふたりを見ていたい、この世界に浸りたい、伝える機会があるのにその想いに言及しないのはもったいないです。
 
 
・言葉にならないときは
それをそのまま伝えたら大丈夫です。感想を伝えるときに語彙力を発揮できる人なんてそうそういません(暴論)。
「語彙力の限界を感じています」「私の力では言葉にならないですすみません」みんな思ってます。語尾が全部これになったとしても、それでも感動を伝えようとしてくれたことに意味があります。
 
 

■地雷になりやすい感想の例

最後に、私自身や周囲の作家さんが受け取って困ったり戸惑ったりしていた感想の例をご紹介します。
感想はとても喜ばれるものですが、関係性や表現の仕方によっては負担をかけてしまう場合もあります。
これから感想を送ろうとしている方の参考になれば幸いです。
 
 
・勝手に続きを書く
これが意外と多くて、私が二次創作を始めた頃に読んだマナーサイト(個人サイト時代に存在した女性向け二次創作におけるマナーを学ぶサイト)にも、よくNG行為として書いてありました。
素敵なお話を読むと妄想の翼が羽ばたいてしまうというのは大変良くわかります。
でも作者さんが続編を構想中だった場合、予想コメントによって創作の方向性に影響が出ることがあります。
最悪の場合、続編がお蔵入りということもあるのです。
そのため、感想ではあくまで「読んだ範囲」の印象に留めると安心してもらえるでしょう。
 
 
・予告されていない続編を催促する
元々続編を書く予定がある場合は喜ばれるかもしれません。
でも、もし作者さんが「この余韻……!決まった……!」と思っている作品に対して「続編は?」と言ってしまったら思わぬダメージを与えることになるので避けたほうが無難です。
私はこれを言われて自分の実力不足を痛感し、数日落ち込みました。
 
 
・創作物を送りつける
個人サイト時代、コメント機能を使って二次創作の連載をされたことがありました。
作品をいただくこと自体は嬉しいのですが、正直、ブクマするほど好きなわけでもないのに感想を言わなくてはならないことが負担でした。
誕生日などにいただく手の込んだイラストや短編のお話はすごく嬉しかったので、関係性や状況によるところが大きいと思います。
 
 
・作品の三次創作を送りつける
私はこれが地雷でした。
私の二次創作を読み込んで、細かいところまで再現しようとしてくれていても、自分のイメージとズレがあるとモヤッとしてしまうのです。
自分が映像で浮かんだ妄想を書き残すタイプの同人作家だったというのも影響していたのでしょう。
ですが反対に、仲良くさせてもらっていた絵師さんのイラストから三次創作をさせていただくことは何度かありました。
私にとっては地雷行為なので慎重に話を進めるのですが、食い気味に大喜びしてくださる方ばかりで……これも関係性によるところが大きいのでしょう。
少なくとも、親しくない間柄なのであれば避けたほうが無難だと思います。
 
 
・リクエストをする
リクエスト企画をしているとき以外は絶対にダメです。
どのマナーサイトにも必ず記載してあるくらいのNG行為です。
同人はそもそも趣味であり、各々の萌えを昇華するために創作活動をしている方がほとんどです。
無償のリクエストはもちろん、有償でのリクエストも受け付けていない場合があります。
プロフィールや投稿に「リクエスト募集中!」「有償依頼受付中!」などの記載がなければやめましょう。
ちなみに私はBLメインの二次創作サイトを運営している時に、際どい内容の夢小説をリクエストされて露骨なローテンションで返信をしたことを仲間内で未だに擦っています。
 
 
・他の作家さんと比較する
「〇〇さんの作品みたいでした!」
「〇〇さんより素敵でした!」
こういった表現は、本人は褒め言葉のつもりでも相手は頭を抱えてしまいます。
二次創作において、公式以外の誰かに似ていることはステータスになりません。
同人界隈ではトレスや構図パクなどがたびたび問題となるため、「〇〇みたい」という言葉に敏感な方も少なくないでしょう。
また他の人を下げるような表現はトラブルになりかねないため、避けることをおすすめします。
 
 
・アドバイスをする
内容的にも技術的にも気に入らない点があるのなら、その作品を読むべきではありません。
時々「好きな作家さんのためだから」「同人誌にお金を払ったのは自分だから」と正当化してアドバイスをして回る人がいます。
ですが同人作家はプロではないため、必ずしも向上する必要はないのです。
誤字脱字の報告ならともかく、まるで添削をするようなコメントは相手を不快にさせます。
俗に言う“クソバイス”と受け取られ、創作意欲を削ぐ原因になりかねません。
 
 
・作品と関係のない日記のようなメッセージ
好きな相手に自分の話を聞いてほしいという感覚は私にも覚えがあります。
そんな好意の暴走を、同人作家さんに向けてしまうケースがあるのです。
頻度や返信の有無によっては可愛い後輩が出来たような気持ちになる人もいるかもしれませんが、よく知らない相手の日記に興味がある人は少数派ではないでしょうか。
 
 
・自分を認知してもらおうという意図でのメッセージ
何人かの同人作家でオフ会をしたり、合同誌や合作をしていると、所謂“擦り寄り”と呼ばれる人からメッセージをもらうことがあります。
しかし、同人関係の相手と同人以外のことで仲良くするのはなかなか難しいものです。
交流目的のメッセージが頻繁に届くと、純粋に創作活動をしたい作家にとっては負担にってしまいます。
感想に「仲良くなりたい」という下心が混ざってしまうと、かえって距離を置かれることもあるでしょう。
 
 
 

まとめ:良き感想ライフのために

様々なポイントやNG行為についてお話したので、なんだか難しそうと感じてしまった方もいるかもしれません。
 
私自身も慣れていない頃は、マナーサイトを何度も読み返しながら感想を書いていました。
 
ですが、実際に何度も感想を書いてきて、これだけ守っていれば大丈夫だと思うようになったことがあります。
 
それは、作家さんや作品への“愛と敬意”です。
 
自分の気持ちよりも相手を尊重し大切にしたいという想いがあれば、たとえ上手く言葉にできなくても相手に伝わります。
 
まずは、「この作品が大好きです!」の一言だけでも伝えてみてはいかがでしょうか。
 
 
 
一方で、もし感想が欲しい作家さんがこの記事を読んでくださっていましたら、ぜひ見えるところにその旨を書いてみてください。
 
作家さんや作品を大切に思うあまり、一歩を踏み出せないでいる読者さんがいるかもしれません。
 
 
 
今回もお読みいただきありがとうございました。
 
またぜひ遊びに来てくれると嬉しいです。

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