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はじめに:誰もが通る“無課金時代”
みなさんは推しに出会ったとき、まず何をしたでしょうか。
公式サイトをスクリーンショット?
公式SNSをフォロー?
ソシャゲをインストール?
そう、誰もが通る最初の一歩はほとんどの場合が無課金です。
友人に連れられてコラボカフェや映画に行った、なんてパターンもあるかもしれません。
それでも、好きだなぁと自覚してから何らかの推し活を始めるまでに無課金でできる推し活を経験する人がほとんどだと思います。
(初対面がカプセルトイで、名前も知らないまま10連した経験のあるやどかりですが、それはまた今度お話しします)
新たな出会いに胸を高鳴らせ検索欄を推しで埋めていた頃、無課金であることに罪悪感なんて抱いたでしょうか。
いや、そんなことはなかったはずです。
それなのに一旦課金し始めると、次はその金額が気になりはじめてしまうもの。
たとえ無課金で楽しもうと思っていても、課金している他の人を見るたびに
「自分もお金使わなきゃ」
「これ買わないなんてファン失格だ」
なんて罪悪感を抱きがち。
SNSで他人の推し活を目にすることは、楽しくもあり悩ましくもあるものです。
もしあなたがアルバイトをできる状況なら、頑張って推し活代を稼ぐという選択肢もあるでしょう。
でも、時間がない、体力がないなど人には様々な事情があります。
私自身、推し活を始めたきっかけは社会人1年目の数カ月に及ぶ療養生活でした。
今回は私の実体験を元に、お金をかけなくても推し活を心から楽しむためのヒントをお伝えします。
時代背景が今と違う部分は、近年仕様の代替案を出しつつお伝えしていきますね。
推し活にお金をかけられなくて悩んでいる方の参考になる内容となっております。
「全然悩んでないよ」という方も、よかったら「こんな人もいるんだなぁ」という感じでぜひ読んでもらえると嬉しいです。
療養生活で気づいた、お金をかけない推し活の原点
怪我で療養していた頃、最初の1ヶ月はほぼ寝たきりで、眠った瞬間に痛みで目が覚めるような生活をしていました。
部屋には学生時代に購入した本や漫画、ゲームがありましたが、数分間手に持つこともできません。
もちろん、スマホゲームやアプリも同様でした。
楽しいことなんか何もない──そう思っていたとき、偶然検索に引っかかってきた動画を再生したことで私の人生は一変しました。
無課金どころか、ろくに身動きが取れなくても楽しめるものがある。
推しに出会って、推しを知って、推しにもらった栄養を生活の糧にできる。
そう気づいてから、私はお金のかからない方法で四六時中推しを浴びるようになったのです。
お金をかけないと言うか、かけるお金がなかったので選択の余地がなかったとも言えるでしょう。
それでも当時の経験が、今の私の推し活観を作っているのです。
無課金・微課金時代に実践した、心の栄養になる推し活4選
1.YouTubeやニコ動、無料動画視聴で沼に落ちた話

まず最初にたどり着いたのが、YouTubeやニコニコ動画など無料で観られる動画視聴でした。
当時、体力が全くなかったこともあり、そこにアクセスすればいくらでも再生できるということに本当に救われていました。
今はいずれも広告が出るようになっていますが、それでも無料で楽しめるのはありがたいですよね。
そして、タイミングよく行われたアニメの一挙放送により、私の推し活は次のステージに進むことになったのです。
2.二次創作とサイト運営で知った、推しへの愛を形にする喜び

動画視聴を楽しんでいた頃、検索した単語がうっかり推しの二次創作を拾ったことがありました。
こんな世界があるのかと衝撃を受けたのは言うまでもありません。
そして短いお話を毎日少しずつ読んでいくうちに、私は段々と自分も書いてみたいと思うようになりました。
しかし、原作自体は学生時代に購入していたものの今は読み返す体力もない──曖昧な情報で二次創作に手を出していいのかな──そう思っていたところにやってきた一挙放送です。
わずか数日で再履修を完了した私は、溢れる妄想を書きためていきました。
そしてその置き場所として、個人サイトを始めることにしたのです。
その頃にはリハビリに通えるようになっていたため、それ以外の時間を全て費やしてマナーサイト(個人サイト時代に存在した女性向け二次創作におけるマナーを学ぶサイト)で勉強し、“forest page”という携帯小説サイトに投稿するようになりました。
その後、フルカスタムホームページの“NANO”に移転したり、Twitter(現X)を始めたり、最終的にpixivに投稿するなど色々なことがありました。
二次創作との出会いは、お金も体力もなかった私の精神的自由度を爆発的に上げてくれたと思っています。
ちなみに数年後、同人誌即売会に足を運ぶようになるまで、二次創作に関しては完全無課金でした。
現在“forest page”は閉鎖され、forestpage+に移行していますし、個人サイト自体がかなり少なくなっています。
ですが、pixivや他の投稿サイトは健在ですしTwitterもXと名前を変え、クリエイターさんたちの交流の場として機能しています。
もちろん、作り手になるには「妄想を形にしたい!」という気持ちがないと難しいかもしれません。
ですが、誰かの作品を読んだり感想を送るだけならハードルを下げられるのではないでしょうか。
公式(作者や権利者)にお目溢しいただいている趣味ですし、人を選ぶ楽しみ方であることは重々承知しています。
二次創作は嫌いだ、苦手だという方もいらっしゃいます。
それでも諸々相性の合う同志の方がいましたら、すっごく楽しいし世界が広がるのでおすすめです。
(ジャンルにより二次創作が禁止されていたり、独自のルールがある場合もあるので事前によく調べることが大切です。)
3.リハビリと推し活を両立!カラオケのすすめ

ここからは微課金のターンになります。
動画、二次創作と来て次に始めたのがカラオケでした。
私の回復具合を追わせていただくと、リハビリが進んで少し歩けるようになったのです。
だけど長期間療養していたので筋力が戻らず、リハビリ以上の運動をするわけにもいかず、悩んでいたところ「腹から声を出せばいいのでは?」と思い至りました。
元合唱部の思考回路ですね。
でもカラオケは大の苦手で、なんとマイクに声が入らないというやる気のなさでした。
ぶっちゃけマイクが嫌いでした。
歌自体は好きだったのですが、ヒトカラなんて以ての外。
それがどうしてカラオケ店に足を踏み入れたのか。
それは、“カラオケを歌うとわずかばかりだが公式にお金が入るらしい”と知ったからでした。
依然として収入はないため、趣味に使うお金はありません。
なので、リハビリと推し活を掛け合わせたかったのです。
そして当時、私の行っていたお店は立地や来店頻度などの関係でワンコインで7時間ほど歌わせてもらうことができました。
今の物価だと都内では再現性が低いかもしれませんが、この金額が初めて推しに課金する機会を私に恵んでくれたのです。
わずかな金額でも、今できる範囲での応援をするんだと自分に言い聞かせながら歌い始めました。
そして見事、リハビリの帰りに7時間ぶっ通しで歌う常連客が爆誕したのです。
カラオケは今でも定期的に通うほど、趣味の殿堂入りを果たしました。
大好きな推しの大好きな歌に長時間触れていたら、そんなことにもなれちゃいますよね。
ちなみに数年後、推しのコラボや円盤の上映会でフォロワーさんと頻繁にカラオケ店に通うことになったので、当時練習していて本当に良かったなぁと思っています。
4.月額1,100円!TSUTAYAディスカスでジャンル開拓

時は流れ、社会復帰を果たした翌年のこと。
私は再び怪我をして、半年ほど身動きが取れなくなった時期がありました。
心身ともに辛いことも多々あり、周りにも迷惑をかけてしまいましたが、落ち込んでいても良くはなりません。
そこで私は思いました。
「そうだ、新ジャンルを開拓しよう!」
そんな折、個人サイトから仲良くしてもらっていたフォロワーさんからDMが届きます。
要約:明日テレビ放送される映画をぜひ観て、ぜひ感想を語って、あわよくば二次創作を書いて、そのジャンルでも一緒に推し活をしましょう☆
渡りに船と飛び乗って、航路を得たものの当時原作を全て買い揃えるほどの財力はありません。
アニメの旧作も動画配信サービスにあがっておらず、どうしたものかと考えたどり着いたのが“TSUTAYAディスカス”でした。
これは、ネットで借りたいDVDやCDを選んで自宅に届けてもらうタイプの宅配レンタルサービスです。
自宅のポストで受け取り、郵便ポストに投函することで返却となります。
当時、自宅から徒歩1分程度(健康なとき)のところに郵便ポストがあったため、松葉杖ユーザーでも利用することができました。
価格は1,100円で、新作と準新作が月4枚まで、旧作は借り放題(2024年に旧作の借り放題サービスは廃止されています)というプランを契約。
毎月10枚程度レンタルするという企業泣かせのユーザーでした。
おかげさまで翌年、初めて同人誌即売会への参加を果たすことになります。
あのときTSUTAYAディスカスと出会っていなければ、そんな未来はなかったことでしょう。
しかしマイナーな作品もレンタルできるという強みはあるものの、借り放題が消滅してしまった今となっては微課金での推し活とは言い切れないかもしれません。
でもAmazonプライムビデオやNetflixなどの動画配信サービスで推しジャンルの取り扱いがなく、レンタルショップに足を運べないときは強い味方になってくれると思います。
5.お金をかけない推し活アイデア集
ここまでは、実際に自分が実践していた推し活についてお話しして参りました。
最後に、私は無課金・微課金時代にはやらなかったけれどおすすめしたい推し活について、一部エアプではございますが語らせてください。
ソシャゲ
当時なぜこれをやらなかったのかと言われそうなくらい、王道中の王道だと思います。
ジャンルを支える重課金のユーザー様には本当に頭が上がらないと常々感じておりますが、実はソシャゲは無課金ユーザーもそれなりにいないと成り立たないと言われています。
楽しんでいる様子をSNSに投稿するだけでも、ジャンルの力になることができるのです。
やってみた系
歌ってみた、踊ってみた、弾いてみたなどの投稿は無料でできることがほとんどです。
投稿までしなくても、踊るだけや歌うだけならそのハードルは更に低くなるでしょう。
私も2.5次元ミュージカルのダンスを練習していた時期がありました。
ストレス解消になるしスキルも上達するので一石二鳥です。
自宅で推しカフェ
推しドリンクや推しスイーツを作って自分だけのコラボカフェを開催したことはありますか?
私はコロナの自粛期間に何度も挑戦して楽しんでいました。
カフェで手に入れた推しのランチョンマットやタペストリーを飾るだけで、どんな料理もコラボフードに見えてきます。
甘いジュースに生クリームを浮かせて、クッキーを乗せてトッピングを振りまいたら完璧です。
仕上げに100均のチョコペンでスイーツに落書きをしてみましょう。
聖地巡礼
私は少々お金を使う推し活民になった頃に何ヶ所か足を運びました。
実際に漫画やアニメで推しが訪れていた場所やモデルとなった施設、MVで映されていた風景、推しと同じ名前の場所など、推しの世界観を交通費のみで楽しめます。
フォロワーさんと写真を撮ったり、推しと同じものを食べてみたり、買ってみたり。
聖地が近場にあるなら本当にラッキーです。
推しにまつわる場所を見つけると思っている以上に気分が上がるのでおすすめです。
※訪れる際はマナーを守り、一般の方の迷惑にならないように気をつけましょう。
ぬい撮り
ぬいがいれば、空き箱だってインテリアになります。
私はぬい撮りにハマっていた頃、森羅万象をぬいのアイテムとして認識していました。
嬉々としてコーラやじゃがりこと撮影していましたし、大雨洪水警報が出たときも非常持ち出し袋と撮影していました。
日常の全てのイベントをぬいと楽しむ推し活──なんと無料なんです。
もちろんぬいのお迎えに関してはそうは行きませんが、生活を明るく照らしてくれる存在に初期投資のプチ課金をしてみるのはいかがでしょうか。
手芸
SNSを眺めていると、様々な推しグッズの画像が流れてきます。
驚くほど精巧な刺繍やぬい服、アクセサリーやレジンクラフトなどを見かけると、つい拡大して堪能してしまいますよね。
手芸にはお金のかかるものも沢山ありますが、100均の材料だけで出来る設計図も存在します。
挑戦してみたら、自分の経済状況に合わせて楽しめる推し活が見つかるかもしれません。
……いかがだったでしょうか?
今回お話した内容が、ひとつでもあなたの推し活のヒントになれば幸いです。
まとめ:お金と推し活の健全な関係を築くために
無課金での推し活を始めた頃は、課金出来る将来が見えておらず、一生こんなふうに推し活を続けるのだろうと感じていました。
さらに、一度課金ユーザーを経てから再び“課金できない推し活民”になると、心のどこかで後ろめたさを感じてしまいがちです。
それでも、人にはそれぞれの生活や立場があるのだから、過去の自分や他人と比べることに大きな意味はないのです。
それぞれが今の自分に合った無理のない方法で楽しめるものこそが、推し活の正解だと思います。
グッズの量やかけたお金の量というのは確かに推しへの愛ですが、それだけが推しへの愛というわけではありません。
だからこそ、自分だけの推し活のかたちを見つけることが、あなたにとって一番の推しへの愛のかたちになるのではないでしょうか。
今回もお読みいただきありがとうございました。
またぜひ遊びに来てくださいね。
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